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2016年03月16日
【試合レポート】2016明治安田生命J2リーグ第3節セレッソ大阪戦
試合レポート
「惜しかった」では済ませたくない試合だった。J2第3節セレッソ大阪戦。開幕2連勝と好スタートを切り、今季初めて敵地に乗り込んだザスパは、昇格候補筆頭の強豪チームに一丸となって果敢に挑んだが、0−1の僅差で敗れた。随所に手応えを感じるゲームだっただけに、大卒ルーキー瀬川祐輔は「少なからずチャンスはあったし、それを決め切らないといけなかった」と今季初黒星を悔やんだ。
多くの選手が「押し込まれることは想定していた」と話した通り、試合は立ち上がりから自陣でプレーする我慢の時間が続いた。個人技を前面に出すC大阪に対し、ザスパはしっかりとブロックを形成。自陣では相手のボール保持者に対して一人、二人とプレスを仕掛け、我慢強く守る戦いに徹した。
立ち上がりの15分間で、最も危ないシーンは9分だった。ハーフウェーライン付近でボールを失い、一気にカウンターを受けてピンチに。PA内まで侵入されたところで、懸命に戻った坪内秀介がシュートブロックし、なんとか耐えた。
17分、開幕から3戦連続で右サイドバックのスタメン出場を続けてきた一柳夢吾が、数分前の相手選手との衝突で足を負傷し、無念の交代。代わりに石川大徳がピッチに立つこととなった。開幕から常に準備を欠かさなかった石川は、不測の事態にも落ち着いて対応。ベテランらしい堅実なプレーで交代出場の影響を最小限に抑えた。
序盤から圧倒的に攻め込まれていたザスパだったが、時間とともにリズムをつかみ始めた。最初のチャンスは21分、敵陣でのFKの跳ね返りを高橋駿太がダイレクトでシュート。これが枠内に飛び、ファーストシュートとなった。その直後にもチャンス。小牟田洋佑が敵陣で粘り、自ら持ち込んで右足シュートを放った。うまくミートできず、ボールに勢いはなかったが、相手ゴールに迫る積極性が光った。
29分にも連動した攻撃でチャンスを作った。左サイドから常盤聡がクロスを上げると、中央で小牟田が体を張ったポストプレー。落としたボールに松下裕樹が走り込み、思い切り右足を振り抜いた。惜しくもボールは枠を捉えることはできなかったが、複数の選手が絡む華麗なコンビプレーでC大阪ゴールを脅かした。
守備ではC大阪の両サイドを起点とした攻撃に体を張って対応。GK清水慶記とセンターバックの坪内秀介を中心に我慢の守備でゴールを死守した。
35分、再び松下が右足でシュート。今度はしっかりと枠を捉えたが、相手GKの落ち着いたセーブでゴールはならなかった。40分には両サイドから何度もクロスを供給し、C大阪ゴールを脅かした。だが、あと一歩最後の精度を欠き、ゴールネットを揺らすことはできなかった。
逆に45分、カウンターを受けてC大阪の柿谷曜一朗にフリーでシュートを被弾。ここは相手のシュートミスに助けられ、スコアレスで折り返した。
ハーフタイム。選手は「やれる」という表情に満ちていた。強豪C大阪を相手に前半を終えてスコアレス。常盤聡が「押し込まれる展開になることは想定していた。その中で前半は悪くはなかった」と振り返ったように、ここまではゲームプラン通りだった。
勝負の後半、C大阪が本領を発揮した。開始わずか1分、自陣右サイドを深くえぐられると、中央へのクロスから相手にフリーでシュートを許した。しかし、枠内に飛んだ強烈なシュートを清水がファインセーブ。こぼれ球に反応した相手のシュートも再び弾き返した。
清水の好守でピンチを脱したザスパだったが、その後も苦しい時間帯が続いた。自陣でプレーする時間が長く、ボールを奪ってもロングボールが多くなり、思うようにリズムを掴めなかった。それでもなんとか耐え、流れを引き寄せようと踏ん張っていたが、14分、超越した個人技の前に屈した。
自陣右サイドからPA内にクロスを許すと、逆サイドで競り負け、中央へ落とされた。落下点にいたC大阪・柿谷にボールを保持されると、センターバック二人がすかさずマークへ。ゴールに背を向けた状態でボールを持った柿谷に対し、坪内、川岸祐輔の二人は振り返るアクションに対応するような位置取りでマークした。想定外のプレーでゴールネットを揺らされたのは、その直後だった。トラップ後、わずかな右足のタッチから左足でヒールキック。柿谷の華麗なプレーにスタジアムが沸く中、ザスパイレブンは呆然と立ち尽くすしかなかった。
1点ビハインドとなり、気落ちしかねない状況の中、チームを奮い立たせたのは守護神だった。失点直後の16分、相手選手の枠内への強烈なミドルシュートを清水が好セーブ。跳ね返りに対する相手のシュートもセーブし、プレーでチームに勇気を与えた。
「J2首位決戦」と評された一戦。このまま敗れるわけにはいかないザスパは、18分に小林竜樹を投入。服部浩紀監督は、昨季のアウェーC大阪戦で2得点を奪っているアタッカーに流れを変える役目を託した。
その狙い通り、20分には早くも小林がシュート。これが相手に当たってCKを獲得するなど、攻撃にリズムが生まれ始めた。守備でも26分に再び清水がビッグセーブを見せ、チーム全体で反撃ムードを高めていった。
そして迎えた30分、この日最大のチャンスが訪れた。ハーフウェーライン付近でボールを奪うと、ボランチ舩津徹也がDFラインの裏へパス。これに素早く反応して抜け出したのが、高橋だった。うまく相手選手の前に位置取り、ドリブルでPA内へ。相手GKとの1対1で狙いすまして股を狙った。しかし、わずかにシュートがズレ、相手GKのセーブにあってゴールネットを揺らすことはできなかった。
その後もチーム一丸となって懸命に前に出たが、どうしてもゴールが遠く、あと一歩及ばない場面が続いた。4分もの長いロスタイムも最後まで諦めずに攻め続けたが、追いつくことはできなかった。
「大きな差はなかったと思うし、相手はボールを大事にしてきたが、うちは粘り強く対応することができた。ただ、一瞬のアイデアの素晴しさでやられてしまった」と小林。ボールは圧倒的に相手に握られたが、失点はわずかに1点のみ。チームとして粘り強く対応し、逆に得点を奪うチャンスもあっただけに、余計に柿谷に奪われた1点の重みが際立った。あの1点を仕方ないと終わらせるのか、今後への糧とするのか。3節を終えた時点で、順位は4位。昨季の成績を踏まえれば、決して悪い順位ではない。ただ、シーズンはまだ始まったばかり。今季初の黒星から何を感じ、何を学ぶのか。その結果が今シーズンを左右する。
次戦は再びホームに戻っての讃岐戦。負ければ開幕2連勝の勢いが消え去り、難しいチーム状況になりかねないだけに、今シーズン前半戦の立ち位置を決める大事な一戦となる。「今日感じたことをしっかり突き詰めて、今後につなげていきたい」と常盤。上位に踏みとどまり、過去のシーズンと違った景色で戦うためにも、次戦は絶対に負けられない戦いとなる。
【結果】
ザスパクサツ群馬 0−1 セレッソ大阪
会場:キンチョウスタジアム
3月12日(土)16時00分キックオフ
前半 0−0
後半 0−1
詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2016/game/160312.html
をご覧下さい。
本件に関するお問合せは(株)草津温泉フットボールクラブ 広報部
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