2016年03月02日
【試合レポート】2016明治安田生命J2リーグ第1節FC岐阜戦

試合レポート

 新生「服部ザスパ」の幕開けは、圧巻のゴールラッシュだった。坪内秀介、常盤聡、そして瀬川祐輔と、新加入組が爆発し、2011年以来勝利のなかったFC岐阜を圧倒。4−0で4年ぶりの開幕戦勝利を飾り、8400人を超える観客に2016年シーズンの躍進を期待させた。服部浩紀監督は「開幕戦ということで、一人一人が特別な思いを持って試合に臨み、その気持ちをうまくコントロールしてゲームもうまくコントロールすることができた」とチームの開幕戦に懸ける思いをたたえた。
 勝たなければいけない一戦だった。服部監督体制1年目の昨季、勝負どころの試合をことごとく落としてきたザスパは、チームに根付く「勝負弱さ」を払拭するため、オフシーズンに約3分の2の選手を入れ替える大改革に着手。その改革が間違いなかったことを証明するためにも、開幕戦は白星が絶対条件だった。
 今シーズンを占う大事な一戦に送り出されたスターティングメンバーは、11人中8人が新加入選手。一見、フレッシュな陣容に思われたが、実際は熊本キャンプの対外試合でスタメン組として出場してきたメンバーがそのまま起用された形であり、チームとしてどこまで連携を高められているかがこの試合のポイントとなった。
 ザスパは4−4−2を基本布陣とし、2トップに小牟田洋佑と常盤聡を配置。2列目に
高橋駿太と大卒ルーキーの瀬川祐輔を起用し、ボランチには松下裕樹と舩津徹也が入った。最終ラインは左右のサイドバックに高瀬優孝と一柳夢吾、センターバックに坪内秀介と川岸祐輔の前橋育英の先輩後輩コンビが位置取り、ゴールマウスは前橋商出身の清水慶記が守った。
 注目の立ち上がり、開始わずか1分でザスパが最初のチャンスをつくった。左サイド、高瀬の裏へのパスに高橋が鋭く反応。ゴールライン間際まで侵入し、惜しいクロスを供給した。2分にも右サイドを瀬川が個人技し、惜しいクロス。5分には左から高瀬がアーリークロスを送り、8分には高瀬の縦パスから瀬川が相手DFの裏を取り、惜しいシュートを放った。10分にも高瀬がドリブル突破を披露し、左サイドを突破。11分には高橋のカウンターから瀬川がチャンスとなり、相手ゴールに迫った。
 序盤から完全にザスパペースとなり、迎えた12分。頼れる男がチームのファーストゴールを叩き込んだ。瀬川の右CK。ゴールから離れるカーブを描き、鋭く曲がっていくと、ファーサイドで競り合っていたのが主将・坪内だった。相手との競り合いで頭一つ抜け出し、打点の高いヘディングシュート。ボールがゆっくりとゴールに吸い込まれると、坪内はユニフォームの胸のエンブレムを左手で握り、右手を突き上げて喜んだ。
 リードした後もザスパの勢いは止まらなかった。川岸の体を張った守りと坪内の的確なカバーリングで守備が安定。前線から最終ラインまで統率の取れたプレッシングで相手にプレッシャーをかけ、ボールを奪うと素早く攻撃に転じて相手ゴールに迫った。
 22分、瀬川の落としから松下が枠内に鋭いミドルシュート。その後も敵陣でのプレーする時間帯が長く、押せ押せムードが続いた。そして32分、追加点のビッグチャンスが舞い込んだ。左サイドを起点に攻撃を組み立て、高橋が中央へクロス。このボールに竸った常盤が相手DFに倒されたと判定され、PKを獲得した。34分、自ら得たPKを常盤が冷静に決め、2点リード。昨シーズン、熊本でノーゴールに終わった常盤は歓喜のバク宙を披露。今後、常盤のゴールパフォーマンスがザスパサポーターの楽しみの一つとなった瞬間だった。
 直後の35分にもビッグチャンス。瀬川のアーリークロスに高橋が反応し、ゴールまであと一歩に迫った。38分にはゴール前でのFKを高橋が直接狙うと、惜しくもわずかに枠外に。攻勢を強め、ハーフタイムに入った。
 2点リードでも気を緩めないザスパイレブン。ロッカールームでは「まだ終わっていない」「ここからが始まりだ」と互いを鼓舞し、残り45分の戦いに向けて気持ちを高めた。
 チーム一丸となり、リードしても集中力を高めるザスパ。後半も自分たちの戦いを貫き通し、次々とチャンスを作っていった。
 15分、自陣でのスローインから常盤が粘り、小牟田へとパス。小牟田がワンタッチで裏へボールを送ると、左サイドを抜け出した高橋がドリブルでライン際まで運び、中央へ狙いすましたクロスを送った。このボールに合わせたのが大卒ルーキー瀬川。ジャストミートとはいかなかったが、冷静に体を倒しながらボールに合わせ、見事にゴールネットを揺らして見せた。
 その後も面白いようにボールが繋がるザスパがリズムよく攻め込んだ。守備では舩津のアクシデントで急遽出場となった大卒ルーキーの中村駿が、的確なポジショニングで相手の攻撃の芽を摘み、ピンチらしいピンチをつくらせなかった。
 クライマックスは38分だった。3点リードという状況で迎えた試合終盤、ザスパは最後まで攻めの姿勢を貫いた。小牟田とのパス交換から抜け出した瀬川が、スピードに乗ったドリブル突破からダメ押しの4点目を獲得。スタジアムを歓喜で包み、自身のデビュー戦を2ゴール1アシストという最高の結果で飾った。
 終了のホイッスルとともに、喜びを爆発させる選手たち。4―0という結果は、今季のチームの可能性を示すには十分だった。
 ピッチ上だけでなく、スタンドも最大限の力を発揮した試合だった。ピッチアップ時の「12」の文字のコレオグラフィー、選手入場時に披露されたビッグフラッグ、時間とともに大きくなっていく声量−。新加入のGK清水が「たくさんのお客さんが駆けつけてくれ、チームのモチベーションもすごく上がったし、その前で勝つことができて本当にうれしい。ああいういい雰囲気のスタジアムにしてくれたおかげで結果がでたと思う」と語ったように、チームとサポーターがひとつになってもぎ取った勝ち点3だった。
 クラブとしても大きな1勝だったに違いない。この試合は「群馬県オールスバルスペシャルマッチ」と題し、富士重工業群馬製作所を始め、群馬県内でスバルの販売に携わる企業の協賛を受けて初めて開催したスペシャルマッチであり、クラブを挙げて取り組んできた一戦だった。営業力を結集し、8400人を超える観客が集まった大事な一戦で勝利したことは、今後のクラブ運営にも好影響を与えるだろう。
 「覚悟」というスローガンの下、始まった2016シーズン。今季に懸ける意気込みを結果で示すことができた。ただ高瀬が「こういう試合を1試合だけでなく、継続してやっていくことが大切」と強調するように、まだシーズンは始まったばかり。2016シーズンの「ザスパ劇場」は、まだ序章に過ぎない。



【結果】
ザスパクサツ群馬 4−0 FC岐阜

会場:正田醤油スタジアム群馬

2月28日(日)14時00分キックオフ
前半 2−0
後半 2−0
入場者数:8418人

詳しくは
http://www.jleague.jp/match/j2/2016/022807/live/

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