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2015年11月04日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第39節水戸ホーリーホック戦

試合レポート

 現実的な戦いでJ2残留を決めた。今季最後の北関東ダービー。2009年9月27日の対戦を最後に、11戦連続で勝てていない宿敵・水戸と敵地で対戦したザスパは、ロングボールを多用する堅実な戦いでスコアレスドローに持ち込んだ。他会場の結果により、勝ち点1を得たことで21位以下になる可能性が消え、J2残留が決定。服部浩紀監督は「(J2残留で)安心した部分があるかもしれないが、自分としてはトップ10を目指してやっているので、他のチームの結果は気にしていない」と話し、「勝ち点1を取れたことを前向きにとらえ、ホーム戦がまだ2試合残っているし、そこでしっかりサポーターに勝利を届けたい」とすぐに気持ちを切り替えた。
 ザスパは前節、アウェーで愛媛に0―3と完敗。J1昇格プレーオフ争いを繰り広げている愛媛に勢いの差を見せつけられた。試合ではMF松下裕樹主将がJ通算100枚目のイエローカードを受け、今季3度目の累積警告となって2試合の出場停止。MFユン・ヨンスンがレッドカードで退場(1試合出場停止)となり、水戸戦には2人を欠いた状態で臨むこととなった。誰よりも北関東ダービーに闘志を燃やす松下と、古巣との対戦を心待ちにしていたユン・ヨンスンを欠く影響は決して小さくなく、苦手・水戸を相手に難しい状況での試合となった。
 対する水戸にとって、今節は絶対に負けられない一戦だった。前節終了時で21位大分との勝ち点差は3。降格争いの真っ只中にあるだけに、相性のいいザスパから勝ち点3を奪って、少しでも危険水域から離れることが至上命題となっていた。
 ザスパのスタメンは、愛媛戦から4人を変更。出場停止の松下に代わってボランチにMFアクレイソンが入ったほか、センターバックにDF乾大知に代わってDF川岸祐輔、右サイドバックにDF小柳達司に代わってDF小林亮を選択。トップ下にはMF黄誠秀に代わって加入後初スタメンとなるMFウーゴが入った。
 両チームの置かれた状況は違っても、互いの意地とプライドがぶつかり合い、常に気持ちのぶつかり合う激しい試合となる北関東ダービー。この試合もどんな熱いバトルが繰り広げられるかに注目が集まったが、予想に反して試合は互いの出方を探り合う静かな立ち上がりとなった。
 ともにロングボールを蹴り合い、ボールが落ち着かない展開。中盤でのセカンドボール争いが続いた。その中でも押し気味に試合を進めたのは水戸。ザスパは守備に回るシーンが多くなった。それでも水戸がFW三島康平を起点に攻撃を組み立てようとすれば、ザスパは川岸が気迫のプレーで三島をマーク。序盤は互いにビッグチャンスはなく、局面での体のぶつかり合いが目立った。
 最初に決定機を作ったのは水戸。17分、ザスパは一瞬の隙を突かれた。ハーフウェーライン付近でアクレイソンがボールを奪われると、一気に水戸のカウンターが開始。DFラインの間にスルーパスを通され、PA内で相手をフリーにし、シュートを被弾した。枠内に飛んだボールはGK富居大樹が足でセーブ。なんとか事なきを得た。
 ザスパは加入後初スタメンのウーゴがボールをキープ。持ち味のテクニックと巧みな体の使い方を生かし、攻撃を牽引した。最初のチャンスは31分。チームトップスコアラーのMF江坂任がハーフウェーライン付近からドリブル突破を開始し、バイタルエリアへ侵入。走り込んできたウーゴにショートパスを出すと、PA内に入ったウーゴがダイレクトで左足を振り抜きシュート。これは惜しくも相手GKの正面を突き、ゴールとはならなかった。
 39分にはセットプレーからチャンス。小林亮の右CKから、江坂が右足でボレーシュート。ボールは大きく枠を逸れたが、トラップからシュートまで巧みな一連の動作が光った。
 前半は両チームとも流れをつかんだとは言えず、45分間が経過。スコアレスのまま折り返した。
 ハーフタイムを挟んで迎えた後半も、両チームの基本的な戦い方は変わらなかった。ザスパ、水戸ともに、攻撃のファーストチョイスは、ターゲットとなる前線の長身選手を狙って長いパスを供給。そのこぼれ球を拾って攻撃を組み立てる戦術が続いた。もしくは、素早い攻守の切り替えから、カウンターで相手ゴールに迫るシンプルな攻撃。試合は少ないチャンスをいかにものにするか、1点勝負の様相を呈していった。
 互いに決定機を作れないまま、立ち上がりの10分間が経過。そこから徐々に試合が動き始めた。13分、ザスパはカウンターを受けてピンチに。自陣左サイドからクロスを許し、シュートを被弾した。逆に直後の14分には、小林亮の右クロスからウーゴがヘディングシュート。今ひとつシュートに勢いがなかったが、惜しい場面をつくった。
 両チームともゴールに近い位置でのプレーは増えたが、なかなか決定機までは至らず。その中でも36分、ザスパは一瞬、バイタルエリアのマークが甘くなり、肝を冷やす事態に。水戸MF鈴木雄斗にクロスバーを襲う左足でのミドルシュートを打たれた。
 39分、服部監督はウーゴに代えてMFカイケを投入。タイプの違う選手を入れて流れを変えようと試みた。
 だが、終盤にチャンスを作ったのは水戸だった。残留争いから抜け出すため、なんとしても勝利が欲しいという強い気持ちを前面に出す水戸。対するザスパは疲れが見え始め、自陣で懸命に守る展開となった。45分、右サイドからクロスを許し、中央でヘディングシュートを被弾。ボールがクロスバーを越えて救われたが、枠内に飛べば失点は免れない危ないシーンだった。
 相手の決定力不足にも助けられ、3分のアディショナルタイムを無事にやり過ごし、スコアレスのままタイムアップ。今季最後の北関東ダービーは、0―0での引き分けとなった。
 服部監督は試合後、記者会見で『選手に「今日は絶対に勝つんだ」という気持ちを伝えて試合に入った』と語ったが、試合内容を振り返れば「引き分けやむなし」という計算も頭にあったように思える現実的な戦い方だった。前節愛媛戦の完敗からの嫌な流れ、2人の出場停止者を抱えるチーム状況、降格圏との差、水戸との相性の悪さなど、さまざまな要素を踏まえた上で、最終的によりリスクの少ない戦術を選択し、勝ち点1を獲得。さらに残留も決定したとなれば、結果的に服部監督の選択は成功したと言えるだろう。
 ただ、「意地と魂のぶつかりあい」というサブタイトルのついた北関東ダービーとしては、いささか盛り上がりに欠ける一戦に終わった感じは否めない。MF坂井洋平が「きょうの水戸は残留争いにある中で、現実的な勝ち点を取ることを考えた戦い方をしてきたので、これまでに戦ってきた水戸とは違うチームで、これまでとは違う試合だった」と振り返ったように、水戸も最大限にリスクを回避した現実的な戦いを選択。その結果、互いのテクニックやチーム力で競い合う場面は少なく、「内容的に薄い試合で、局面でぶつかり合う試合」(坂井)となり、90分間を通じて見どころの少ない試合となった。試合後に残留を決めたザスパとは対照的に、水戸は引き続いて降格争いが続くこととなり、結果としてザスパの方が価値のある勝ち点1となったが、ダービーらしい熱い戦いを期待して敵地まで駆けつけたサポーターにとっては、やや不満の残る試合となったと思われる。「北関東ダービーのタイトルなくして昇格なし」。服部監督には、5年連続で最下位に終わった北関東ダービーの結果を胸に刻み、残留を決めた来季のJ2の戦いに臨んでもらいたい。
 J2残留を決めた上で臨む今季の3試合。江坂は「プロとして一人一人が最後までしっかりプレーしなくてはいけないし、みんなサッカー人生が掛かっているので、どんな状況でもやり続けるのがプロ。残り3試合、3連勝するつもりでやっていく」と力強い言葉で宣言する。目標とするベスト10、10位との勝ち点差はわずか3。十分に逆転可能な差だ。残り3試合、全てを懸けて臨み、このチームの集大成を見せつけたい。



【結果】
ザスパクサツ群馬 0‐0 水戸ホーリーホック

会場:ケーズデンキスタジアム水戸

11月1日(日)13時00分キックオフ
前半 0−0
後半 0−0

詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/151101.html
をご覧下さい。

本件に関するお問合せは(株)草津温泉フットボールクラブ 広報部
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