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2015年10月21日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第37節セレッソ大阪戦

試合レポート

 またしても“大物食い”をやってのけた。J2第37節。昇格争い中のC大阪をホームに迎えたザスパは、現役の日本代表MF山口蛍らリーグ屈指の戦力を誇る相手に2−0で完勝。個の能力で勝る相手に気迫で立ち向かい、7千人近い観衆の前で金星を演じて見せた。服部浩紀監督は徹底したハードワークを勝因に挙げ、「チームとして戦うことができた」と団結力の勝利を強調した。
 前節アウェー徳島戦で8試合ぶりの勝利をつかんだザスパは、徳島戦でJデビューを果たした大卒ルーキーのDF川岸祐輔が、体調不良で徳島戦後にチームを離脱。練習にも顔を出しておらず、今節はベンチ外が決定的となっていた。ムードメーカーのホーム凱旋を楽しみにしていたサポーターにとって残念な結果となったが、川岸の台頭はチーム内の競争心を高め、トレーニングからほかの守備陣が気合いのプレーを披露。激しいポジション争いの末、川岸に代わってDF乾大知が2試合ぶりにセンターバックに入ることとなった。
 対するC大阪は日本代表の活動から帰ったばかりの山口がいきなりの先発。その他にもMF扇原貴宏やMFパブロら豪華な布陣をそろえ、昇格争いに踏みとどまるべく、アウェーで勝ち点3を狙いに来た。
 試合は前半、立ち上がりから攻めるC大阪と守るザスパという構図。ザスパにとってはいかに失点せずに我慢できるかが鍵となった。
 いきなりのピンチは3分、自陣右サイドから相手のスローインを受けると、ヘディングでのクリアボールをC大阪・山口に拾われ、ワントラップからのミドルシュートを被弾。守備陣のブロックを超えたボールは間一髪、ポストに当たって難を逃れた。
 自陣でプレーする時間が長い中、何とかセットプレーで活路を見出したいザスパ。9分に敵陣左サイドでのFKを得ると、MF松下裕樹が直接狙って惜しいシュートを放った。
 その後も流れは変わらずC大阪。17分にはC大阪・パブロのドライブの掛かったミドルシュートを受けた。これはわずかにクロスバーを越えたが、押し込まれる時間が続いた。32分にはC大阪・山口にDFラインの裏を取られ、サイドを深くえぐられると、その折り返しからC大阪FWエジミウソンにPA内でフリーでシュートを打たれた。これもポストに当たって救われたが、相手ペースの苦しい時間が続いた。
 33分にMF吉濱遼平がカウンターからチャンスを得るも、相手DFの粘りにあってシュートには至らず。圧倒的に攻め込まれる中、運も味方してスコアレスで折り返すのが精いっぱいだった。
 前半の45分間、相手にボールを支配される時間が長かったが、ザスパにとっては想定内の展開だった。ハーフタイムのロッカールームには、選手たちの「後半勝負」という声がこだました。服部監督もスコアレスで耐えたことをたたえ、勝負の後半に向けて「ミドルシュートを積極的に打っていこう」と指示を出した。
 そして始まった後半、いきなり服部采配が的中した。1分、敵陣左サイドからDF川島將がロングスローをPA内に送ると、FW小牟田洋佑がヒールで落とし、MF黄誠秀が粘って短いバックパス。これを吉濱がバイタルエリアで受け、利き足の左足でシュートすると、相手DFに当たってボールは再び吉濱の下へ。吉濱が思い切り右足を振り抜くと、ボールは相手ゴールの左隅に吸い込まれていった。
 狙い通りの攻撃でリードしたザスパは、水を得た魚のようにプレーに気合いがこもり、球際で相手を圧倒していった。さらに守備の集中力も増し、10分にはカウンターを受けて自陣深くまで入り込まれる大ピンチとなるも、エジミウソンのシュートをGK富居大樹がビッグセーブ。その後は逃げ切ろうと守りに入るだけでなく、カウンターを中心とした攻撃でしたたかに2点目を狙って戦った。
 14分には吉濱が思い切りのいいロングシュート。16分には小牟田のパスからMF江坂任がサイドを深くえぐり、高速クロスでゴールに迫った。
 1点リードのまま時間が経過し、迎えた終盤の40分、カウンターから絶好機を得ると、黄誠秀がPA内で倒され、PKを獲得。決めれば試合が決まる重要なPKは、獲得した黄誠秀が蹴るかと思いきや、最初に吉濱がボール取りに行ってキッカーをアピール。だが、江坂も名乗りをあげ、じゃんけんの末に江坂がキッカーに。サポーターの大声援の中、41分に江坂が冷静にゴール左隅に蹴り込み、リードを2点に広げた。
 残り時間は交代枠をうまく使いながらリードを維持。待望の終了のホイッスルが鳴ると、正田醤油スタジアム群馬に歓喜の声がこだました。
 前回4月の第8節での対戦では、ザスパが開始わずか2分で失点したものの、その後2点を奪い返し、アウェーの地で1−2の逆転勝利。C大阪にとっては屈辱の敗戦となっただけに、今節での雪辱に燃える思いは並大抵ではなかったはずだが、それ以上にザスパの勝利への執念が上回り、試合を通じて球際やハードワークで相手を圧倒した。テクニックで勝る相手を強い気持ちでねじ伏せ、C大阪からシーズン2勝という結果をたぐり寄せた。江坂が「こういう試合ができると残り試合も勝っていける」と語ったように、試合内容も今後につながる大きな1勝となった。
 また、7千人近い観衆の前でC大阪という強豪チームを破ったことは、チームだけでなくクラブにとっても喜ばしい勝利となった。今季これまでホームで2度の1万人超えの試合を実施しながらも、ともに黒星に終わり、一見客に「もう一度ザスパの試合が見たい」と思わせるには厳しい結果だった。それが一転、この日は現役日本代表を抱えるC大阪を相手に2−0の完勝。チーム一丸となったまさに「無我夢中」の戦いで、格上チームから勝利をもぎ取る姿は、スタジアムを訪れた人たちの脳裏に焼き付き、「もう一度見に来よう」と思わせたに違いない。
 そして何より、服部監督や選手たちが口々に語っていたように、サポーターの力の大きさを感じた勝利だった。「サポーターが本当にいい雰囲気を創り出してくれた。素晴らしい雰囲気の中で試合ができ、サポーターに感謝しかない」と服部監督。応援をリードするゴール裏はもちろん、メインスタンドやバックスタンドまでが一体となった「ザスパコール」によって、ピッチ上の選手がどれだけ勇気をもらったことか。乾が「サポーターの応援が聞こえてきて、鼓舞する声が聞こえてきて、やってて本当に背中を押されました」と強調したように、サポーターとチームの力が一体となってつかみ取った価値のある勝利だった。8月15日第29節金沢戦以来となる約2カ月ぶりのホームでの勝利に、吉濱は「ホームで勝てない時期が長かったけど、それにも関わらずいつも応援に来てくれるサポーターは、苦しい時期に本当に心強かった。だからこそ今日はセレッソという強豪に勝って、サポーターを喜ばせることができて良かった」と喜んだ。
 順位こそ15位で変わらなかったものの、目標とするベスト10までの勝ち点差はわずか2となった。今季は残り5試合。来季に希望をつなぐためにも、10位以内という目標は何としても達成したいところ。服部監督は「この時期は本当に1つのプレーが順位だったり結果を変えてしまう。それを強く意識して、練習からワンプレーにこだわって取り組んでいくことが大切になる。このチームが少しでも上に行くためにも、そういう部分にこだわって戦っていきたい」とベスト10に意欲を見せた。


【結果】
ザスパクサツ群馬 2‐0 セレッソ大阪

会場:正田醤油スタジアム群馬

10月18日(日)15時00分キックオフ
前半 0−0
後半 2−0
入場者数:6916人

詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/151018.html
をご覧下さい。

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