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2015年09月25日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第33節ジュビロ磐田戦
試合レポート
「勝てる試合だった」。試合後、多くの選手が口にしたように、ザスパは2位磐田を瀬戸際まで追い詰めた。しかし、最後に笑ったのは磐田。終盤に試合をひっくり返す勝負強さを見せつけられ、2―3で敗れた。一時は逆転するなど見せ場もつくったが、最終的に結果をものにできず、服部浩紀監督は「相手の方が球際や精度、テクニックなどすべての面で上だった」と力の差を認めた。
リーグ戦3連敗中のザスパは、20日のアウェー岡山戦からスタメンを3人変更。特に2試合連続で3失点を喫しているDFラインを2人入れ替え、守備の立て直しを狙った。右サイドバックのDF久富良輔に代わり、DF小柳達司が2試合ぶりに先発復帰。センターバックもDF有薗真吾に代わってDF青木良太が2試合ぶりに先発に戻ると、ボランチにはMFアクレイソンに代えてMF坂井洋平が入った。
2−1で劇的な逆転勝利を飾った5月24日のアウェー磐田戦と同様、チームの狙いは粘り強い守備からリズムをつくり、素早くカウンターを仕掛けてゴールを奪うことだった。MF吉濱遼平が「ある程度、相手にボールを回されることは想定していた」と語る通り、ボールポゼッションを磐田に支配されるのは想定内。そのうえでどれだけ守備が我慢し、少ないチャンスをものにできるかが鍵だった。
試合は前半、序盤からやや磐田ペース。ザスパは青木、乾の両センターバックを中心に守備からリズムをつくり、好機をうかがった。
8分、相手の中途半端なクリアボールに小柳が素早く反応。ヘディングで前にパスを出すと、MF黄誠秀が相手DFとの駆け引きからフリーになり、浮き球をダイレクトでシュートした。枠内に飛んだボールは惜しくも相手GKのセーブにあったが、両チーム合わせて最初の決定機をザスパがつくった。13分には、前線でのボール奪取から、右サイドを駆け上がった小柳がクロス。ファーサイドに左サイドバックのDF小林亮が走り込み、ダイレクトで合わせた。シュートは大きく枠を外れたが、両サイドバックの積極的な上がりが光った。15分にも素早いカウンターから決定機。ハーフウェーライン付近でのFKをMF吉濱遼平が素早くリスタートし、DFラインの裏へ。抜け出したFW江坂任がバイタルエリアで起点をつくると、黄誠秀を経由して最後は走り込んだ小林竜樹へ。わずかにパスがずれ、シュートには至らなかったが、ゴールの気配が漂う連係プレーだった。
序盤は集中した守備でほとんど決定機をつくらせなかったザスパだったが、時間とともに隙が見え始めた。21分、自陣深くでの相手スローインに対し、一瞬、マークが甘くなり、磐田MF小林祐希に枠内シュートを被弾。GK富居大樹の好セーブで事なきを得たが、失点してもおかしくない場面だった。
そして32分、自陣でのボールロストからゴールネットを揺らされた。自陣バイタルエリアでパスを受けた坂井が、出しどころに迷っている隙にボールを奪われ、一気にピンチに。磐田MF川辺駿にグラウンダーシュートを打たれると、ボールは懸命に伸ばした富居の手の先をいき、ゴールに吸い込まれた。一瞬の隙を突かれての先制点献上。守備からリズムをつくる戦術がはまっていただけに、悔やんでも悔やみきれない失点となった。
1点ビハインドで迎えた後半。試合はここからエキサイティングな展開となっていった。ザスパは前半同様、攻守の切り替えの早いサッカーで磐田ゴールに迫った。
まずは2分、江坂のボール奪取から一気にカウンターを仕掛け、最後は吉濱がPA内へ。ドリブル突破から左足で惜しいシュートを放った。13分にはバイタルエリアで吉濱がキープし、スルーパス。抜け出した黄誠秀がGKと1対1になったが、シュートはわずかに枠を外れた。14分にもカウンターで決定機。自陣でのボール奪取から素早くつなぎ、DFラインの裏へ抜け出した吉濱がPA内まで入り込むも、最後のボールタッチがずれ、シュートまで至らなかった。
立て続けにチャンスをつくり、流れを引き寄せたが、なかなかゴールを割れない嫌な展開。それでも23分、気持ちのこもったゴールで、ついにネットを揺らした。吉濱の右CKがファーサイドにいくと、江坂が打点の高いヘッドでシュート。これがポストに当たって跳ね返ると、混戦からこぼれたボールをライン際で小林竜樹が折り返し。乾、青木と立て続けにヘディングシュートを放つも、磐田GKカミンスキーの連続セーブに跳ね返された。混戦からこぼれ球がPA内に落ちると、絶好のポジションで待ち構えていたのが、江坂だった。冷静に右足を振り抜き、懸命に守る磐田守備陣の頭の上を抜け、ゴールへ。チーム一丸となって粘り、試合を振り出しに戻した。
これで流れをつかんだザスパは、直後の26分、前半から再三つくってきたカウンターでの決定機で、試合をひっくり返した。自陣でのボール奪取から、黄誠秀が逆サイドへスルーパス。左サイドを抜け出した吉濱がドリブルでPA内まで持ち込み、GKや相手DFをかわして、右足で逆転ゴールを叩き込んだ。
この日一番の歓声で盛り上がるスタジアム。勝利まで残り約20分。ここから両チームの指揮官の采配が明暗を分けた。失点後、磐田の名波浩監督はすぐさまベテランDF駒野友一を投入。対する服部監督は得点を決めた吉濱に代わってMFウーゴをピッチに送り出した。
服部監督は試合後、この交代について「吉濱が足にきていて、どこまで引っ張れるか、という状況があった。そしてウーゴはキープができるし、攻撃でもパスを出せるので、より前で起点になれると思って出した」と説明。その狙い通りにはいかず、結果的にはこの交代後、チームはリズムを崩していった。
ウーゴ投入からわずか4分後、運動量の落ちた右サイドのプレスが甘くなり、自陣に押し込まれると、最後はバイタルエリアからミドルシュートを被弾。同点に追いつかれた。
さらに39分にも右サイドを起点にチャンスを作られ、大ピンチ。相手のシュートがクロスバーに当たって救われたが、流れは圧倒的に磐田だった。
そして40分、自陣バイタルエリアでMF松下裕樹がファイルを犯し、FKを献上。41分、このFKを磐田の駒野に決められ、逆転を許した。
その後、何とか勝ち点を得ようと懸命に反撃したザスパだったが、一度失った流れを引き戻すことはできなかった。2−3での逆転負けに、選手たちはがっくりと肩を落とした。
選手交代後にリズムを失ったザスパと、交代選手が逆転ゴールを決めた磐田。記者会見でウーゴ投入を問われた服部監督は「結果が全てなので、そう(交代によって流れが悪くなった)言われても仕方ないと思います」と自身の責任を認めた。
J1昇格争いを繰り広げる強豪を相手に、勝利まであと一歩に迫った。だが、プロは結果がすべて。どんなにいい試合をしようが、負ければ勝ち点は得られない。順位こそ15位から変動しなかったが、気づけば降格圏との勝ち点差はわずか7。残りの試合数を考えても、決してまだ安全圏とは言い切れない。置かれた現状を重くとらえ、これまで以上に目の前の一戦に強い気持ちで臨みたい。
最後に一つ、この試合には、クラブのJ参入後過去最高となる11303人の観客が詰めかけた。今季は開幕戦で初の1万人越えとなる11198人を記録。過去一度も超えることができなかった1万人の壁を1シーズンで2度も超えた。両試合ともその試合のために制作した「スローガンTシャツ」を無料配布(ビジター自由席を除く)。この日の磐田戦に限っては、前橋市民と草津町民をサンクスデーとして無料招待するなど、採算を度外視したクラブの集客策が実った形となった。黄誠秀が「本当に多くの観客がスタジアムに来てくれて、すごく感謝している。試合前にロッカールームから出た瞬間、満員のスタジアムを見て、本当にモチベーションが上がったし、いつも以上に絶対に勝つんだという気持ちが沸き上がってきた。こういう環境でプレーできたことは本当にうれしかった」と語ったのをはじめ、多くの選手が大観衆の前でのプレーを心から喜び、自らのモチベーションを高めたことは間違いない。この日配布した黄色のスローガンTシャツを着用した観客により、黄色一色に染まったスタンドの光景は圧巻の一言。選手入場時にゴール裏のサポーターが実施した「12」のコレオグラフィーも、どれだけ選手の心に響いたことか。試合の結果は黒星となったが、エキサイティングな試合展開、エンターテイメントあふれるスタジアムの雰囲気は、たくさんの観客の脳裏に焼き付けられたに違いない。近い将来、毎試合1万人を超えるようなクラブになるための第一歩として、この日の経験をチームもクラブも、そしてサポーターも今後につなげていきたい。
【結果】
ザスパクサツ群馬 2‐3 ジュビロ磐田
会場:正田醤油スタジアム群馬
9月23日(水・祝)14時00分キックオフ
前半 0−1
後半 2−2
入場者数:11303人
詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/150923.html
をご覧下さい。
本件に関するお問合せは(株)草津温泉フットボールクラブ 広報部
TEL:027-225-2350 FAX:027-225-2355