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2015年07月19日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第24節栃木SC戦
試合レポート
北関東ダービーの勝利はやはり格別だった。ザスパはライバル栃木をホームに迎え、虎の子の1点を守り抜いて1−0で完勝。チーム一丸となった粘りの戦いで、1−5と大敗した前回対戦の雪辱を果たした。試合後はライバル撃破の喜びをかみしめるかのように、ザスパサポーターの歓喜の歌がスタジアムに鳴り響いた。服部浩紀監督は「前回の対戦で1−5で大敗して、北関東ダービーで本当に悔しい思いを味わったので、きょうはどんな形でも勝つことが大事だった」と気迫の勝利を強調した。
隣県のチーム同士が意地と魂を込めて戦うダービー。選手はもちろん、サポーターにとっても絶対に負けられないプライドを懸けた戦いで、ザスパは前回栃木と対戦したアウェーでの第17節を、1−5という屈辱的なスコアで落としていた。
あの時の屈辱を絶対に忘れるわけにはいかないと、この日はサポーターがチームバスの会場入りの際に横断幕を掲げて選手を鼓舞。この試合に懸ける意気込みを行動で示し、スタジアムは試合前から北関東ダービーらしい緊張感のある雰囲気で包まれた。
ピリピリとした空気の中で始まった試合は、両チームとも互いの出方を探る慎重な立ち上がり。ザスパはボランチが本職のMF坂井洋平をトップ下に配置し、高い位置から連動した守備でボールを奪う狙いを持って戦った。
ファーストシュートは8分、敵陣バイタルエリアで相手のマークが甘くなった瞬間を逃さず、MFアクレイソンがミドルシュート。ボールは相手GKの正面に飛んだが、相手の隙を逃さず積極的にシュートを放ち、この試合に懸けるチームの強い気持ちを表現した。
時間とともに試合が落ち着くと、ザスパはボールを保持してパスを回しながらチャンスをうかがった。リズム良くボールを回しているうちはよかったが、ミスからインターセプトを許し、何度かピンチを招いた。失点は免れたものの、不安手さを露呈した。
栃木が引き気味に戦ってきたことで、ここ最近のザスパの武器であるカウンターを仕掛ける場面は少なかった。だが、この日はセットプレーの精度の高さが光り、CKやFKを中心に徐々に栃木ゴールに迫っていった。29分にはMF吉濱遼平のCKから、遠いサイドで待ち構えたFW江坂任がフリーでヘディングシュート。ボールはわずかに枠を逸れたが、あと一歩でゴールという場面をつくった。
前半だけで実に7本ものCKを獲得したザスパ。今季はここまでセットプレーからの得点が少ないことが課題だったが、この日は違った。41分、まさにドンピシャのキックからゴールをこじ開けた。
左サイドからのCKをMF松下裕樹が右足で蹴り、ゴールに向かって巻いてくるカーブの掛かったボールを供給。ニアサイドに早いボールを蹴ると、ストーンと呼ばれる相手の跳ね返し役の選手の頭を超える絶妙なキックとなった。その直後、ストーンの背後に走り込んだFW野崎桂太が頭で合わせると、強烈なボールがゴールネットに突き刺さった。
「松さん(松下選手)のボールがよかったので触るだけだったし、つっちーさん(土屋GKコーチ)がいろいろ分析して考えてくれた形だった。そういう練習での取り組みがしっかり結果につながって、本当によかった」と野崎。7月頭の草津キャンプから、徹底してセットプレーの練習に取り組んできたチームにとって、待望のCKからの得点だった。選手はもちろん、チームスタッフの力を結集し、もぎ取った大きな1点だった。
リードして折り返したものの、ミスからピンチを招く場面もあり、前半は反省点も多々あった。ハーフタイムのロッカールームに浮かれる様子はなく、選手たちは時間を惜しむように修正点を話し合った。「もう一度、後半いくぞ」。最後は服部監督が檄を飛ばし、ピッチへ。勝負の後半に向かった。
勝利まで残り45分間。リードしているザスパだが、守りを固めるのではなく、あくまで積極的に追加点を狙いに行く意識だった。立ち上がりから果敢に前に出て、敵陣でリズムよく攻めていた。
流れが変わったのは11分。栃木がFW阪野豊史を投入してきてからだった。前回の対戦で阪野には2失点を喫しているザスパ。この日も体の強さを生かした阪野のプレーに苦戦し、自陣で起点を作られる場面が目立った。
疲れもあり、運動量の落ち始めたザスパ。服部監督は20分、坂井に代えて運動量が持ち味のMF小林竜樹を投入し、もう一度前からプレスを仕掛けることをピッチ上の選手に意識させた。
この交代が功を奏し、再び息を吹き返したザスパ。反撃に出る栃木に対し、自陣でしっかりとブロックを形成し、落ち着いて跳ね返して素早く攻撃に転じた。25分には中盤でのインターセプトから左サイドを江坂が突破。ライン際からのマイナスの折り返しからアクレイソンがシュートし、相手ゴールに迫った。28分には右サイドからDF夛田凌輔がクロスを供給し、最後は小林竜樹がボレーシュートを狙った。
終盤、相手に攻め込まれる場面が目立ち始めたが、最後まで集中力を切らさず、体を張ったしぶとい守りでゴールを死守。3分のアディショナルタイムも危なげなく守りきり、終了のホイッスルを迎えた。
「チーム全体で魂を込めた試合ができた」とDF青木良太。その言葉通り、攻守で体を張り、体力の限界まで走り続けて、強い気持ちでつかみ取った勝ち点3だった。
そして服部監督、青木、野崎とそれぞれがサポーターへの感謝を口にしたように、この日はいつも以上にサポーターの力を実感した試合だった。もはや恒例となった勝利時の服部監督の湯もみダンスは、いつも以上に激しく、喜びに満ちていた。その姿を笑顔で見守り、チームとともに勝利の喜びを分かち合うサポーター。この日は勝利利の草津節の輪が、ホームゴール裏スタンドだけでなく、メインスタンドやバックスタンドの観客にまで広がっていたのが強く印象に残った。そして、「俺たち群馬、栃木だけには負けられない」というセンスのあるチャントは、ライバル栃木のサポーターがザスパ戦専用で歌うチャントを皮肉ったもの。いつまでも、そして何度でも見ていたいと思える最高の光景だった。
ライバル栃木を破り、今季3度目の2連勝。順位も12位に浮上し、J1昇格プレーオフ圏内6位との勝ち点差5まで迫った。「5試合負けなしで来ているが、まだまだだし、これをどれだけ続けられるかが大切。2011年の終盤に10試合負けなしという時があったが、それを上回るくらいの気持ちでやる。目の前の試合に集中して、勝ち点を積み上げていき、結果として負けなしの状況を継続していきたい」とDF有薗真吾。チームが上昇気流に乗り始めたことは間違いない。ただ、まだシーズン半ば。何かを成し遂げたわけではないことは選手自身が一番分かっている。中3日で迎える次節長崎戦。再び厳しい戦いが待っている。
【結果】
ザスパクサツ群馬 1‐0 栃木SC
会場:正田醤油スタジアム群馬
7月18日(土)19時00分キックオフ
前半 1−0
後半 0−0
入場者数:3337人
詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/150718.html
をご覧下さい。
本件に関するお問合せは(株)草津温泉フットボールクラブ 広報部
TEL:027-225-2350 FAX:027-225-2355