※テスト運用中
ツイート
2015年05月25日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第15節ジュビロ磐田戦
試合レポート
敵地・ヤマハスタジアムに、勝利の草津節がこだました。アディショナルタイムの劇的な勝ち越しゴールで、ザスパが首位磐田を2−1で撃破した。J制覇の経験もある強豪クラブから、チーム一丸となった気迫の戦いで、歴史的な1勝をもぎとった。
文字通りの苦しい試合だった。前半の45分間で、ザスパは1本のシュートも打てなかった。逆に7本ものシュートを被弾し、圧倒的にボールを保持された。「戦う前から、ある程度苦しい試合になることはわかっていた」とDF小林亮。相手に主導権を握られる展開は覚悟していた。その中でチームとしてどれだけ我慢し、献身的に守り、少ないチャンスをものにできるかが勝負の鍵だった。
だからこそ前半をシュートゼロで終えても、チームは失点0で終えたことに手ごたえを感じていた。ハーフタイムのロッカールームでは、自然と「いける」「チャンスはある」という声が次々と上がった。「まだまだ足りない。もっともっと厳しくいかなきゃいけない」。プラン通りに進んだ前半を終えても、服部浩紀監督はさらなるハードワークを求めた。指揮官の叱咤激励で気持ちを高め、選手は勝負の後半に向かった。
磐田のキックオフで始まった後半。開始から自陣でのプレーが続いた。素早いパス回しで攻め込んでくる磐田に対し、ザスパは運動量とカバーリングで応戦。MF松下裕樹とMF黄誠秀の両ボランチが中心となり、攻撃の起点となる楔のパスの受け手をつぶしにかかった。それでも何度か危ないシーンを作られ、6分にはCKからのヘディングシュートがポストに当たって運よく失点を免れる場面もあった。
10分、FW永井雄一郎に代わってMF吉濱遼平が送り込まれると、防戦一方の展開から流れが変わり始めた。「遼平が入り、相手を一人はがせるようになったので、主導権を握れるようになった」とFW小林竜樹。11分、吉濱がファーストプレーでカウンターを仕掛け、長い距離のドリブルで相手をかわして敵陣バイタルエリアまで入り込み、少しずつ得点のにおいが漂い始めた。
14分、自陣右サイドでのボール奪取から吉濱を経由し、小林竜につないで最後はFW江坂任が左足を振り抜いた。これがチームのファーストシュートだったが、これまでの沈黙がうそのように、ザスパはこの後、積極的に攻撃を仕掛けた。
16分、ハーフウェーライン付近でボールを奪い、江坂がバイタルエリアまでドリブル突破。相手DFを引き付けてパスを出し、今後は吉濱が左足でシュートを放った。ボールは惜しくもクロスバーの少し上を通過したが、若い二人の攻撃陣が絶妙なコンビプレーで最初の決定機を作った。
さらに19分、自陣でボールを受けた吉濱がシザーズで相手のプレスをかわし、DFラインの裏へ走り出した江坂にスルーパス。ボールを受けた江坂は前に広がる広大なスペースを使って得意のドリブルで勢いに乗った。バイアルエリアまで進むと、応対した磐田DF伊野波雅彦を素早い切り替えしでピッチに転がし、右足で強烈なシュート。惜しくもGKに阻まれたものの、元日本代表DFをあざ笑うかのようなテクニックを見せつけた。
そして20分、このプレーで得たCKが歓喜の瞬間を生んだ。左のコーナーフラッグ近くにボールを置いたMFオリベイラが、GKの位置を見て素早いキックで直接ゴールを狙った。このシュートがクロスバーに当たって逆サイドに跳ね返り、江坂のクロスボールのこぼれ球を黄誠秀、松下と連続してシュート。相手DFに当たって浮き上がったボールに、DF青木良太が反応して競り勝ち、右足でシュートを放った。これがポストに当たって跳ね返ると、素早く反応した小林竜が体を投げ出して右足ボレーシュート。気持ちのこもったボールは勢いよくクロスバーをたたいた後、ゴールに吸い込まれた。
先制ゴールで流れをつかむと、25分には江坂と吉濱のコンビが追加点のビッグチャンスをつくった。中央でのパス交換から、吉濱が丁寧なスルーパス。裏に抜け出した江坂がGKと1対1となり、左足で狙いすましたシュートを放った。わずかに枠を外れたが、2人の絶妙なコンビネーションは今後のチームの大きな武器となることを予感させた。
その後、時間とともに磐田の反撃の勢いが増し、自陣に押し込まれていった。決して集中を切らすことなく、攻め込まれても体を張った守備で跳ね返し続けた。
だが、相手は百戦錬磨の磐田。43分、ついに個の力を守りきることができなかった。相手GKのロングキックが自陣まで飛んできて、競り合った青木が身長190センチの磐田FWジェイにゴール前に落とされた。このボールを磐田MF松井大輔がダイレクトでポストプレー。マークに付いたDF乾大知も激しく体を当てたが、松井に倒れ込みながらも絶妙なボールをアシストされた。そしてジェイが右足を一閃。シュートは懸命に体を投げ出してブロックする乾の股を抜き、GK富居大樹の手をかすめ、ゴールネットを揺らした。
嫌な時間帯での同点弾。さらに勢いを増す磐田は、果敢に逆転ゴールを狙いに来た。アウェーのザスパにとって、このまま守り切って引き分けでも十分な成果だった。「正直、引き分けでもしょうがない」と語った服部監督だけでなく、ピッチ上の選手も引き分け狙いの考えだったという。
それでもアディショナルタイム3分、巡ってきたチャンスに、「自然とみんな前に出ていった」(小林亮)。勝ちたい気持ち、本能が、体を前へと動かした。
自陣深くでボールを奪った松下が、江坂への楔のパスから猛然とオーバーラップ。この動きがスイッチとなり、一気に攻撃陣の前への意識が高まった。折り返しのパスを受けた松下がバイタルエリアまで運び、再び江坂にパス。江坂が相手DFを引き付けた後、吉濱にヒールパスを出し、吉濱が左足で狙いすましたミドルシュートを放った。このシュートはGKのファインセーブにあったが、はじいたボールに詰めていたのが、猛然とゴール前に飛び出した左サイドバックの小林亮だった。
落ち着いた動作でボールを右足に当て、値千金の勝ち越しゴール。「チームみんなの気持ちが表れた。みんなで奪ったゴールだと思っている」と小林亮。松下のボール奪取の後、自陣深くからわずかなチャンスを信じて相手ゴール前まで走り込み、そしてゴールネットを揺らした。
「90分間、うちの狙いであるハードワークや球際の部分、相手に連続してプレーさせないことなどを徹底してできたことが結果につながった」。服部監督が記者会見で選手をたたえたように、戦う気持ちを前面に出し、強豪チームに臆することなく挑んで、結果をつかんだ。
スタジアムに響いた、いつもより長い勝利の草津節。アウェーの地まで駆けつけたザスパサポーターは、思う存分フットボールの醍醐味に酔いしれた。
古巣磐田相手の勝利にも、黄誠秀は「1勝はどこが相手でも変わらない。気持ちを切り替えて、次に試合に向かっていかないといけない」と気を引き締めた。C大阪と京都に続き、磐田をも破ったことで、チームの底力は証明された。それでも15位という順位に甘んじている現状が、チームのもろさを示す。
ホームでいまだ1勝しか挙げられていない状況は、何よりも寂しい限りだ。「きょうのような試合ができたことは大きいし、チームの自信になる。ただ、これを続けていかないといけない」と小林亮。次節は上位の千葉をホームに迎える。上昇気流に乗れるか否か。結果がすべてを物語る重要な試合となる。
【結果】
ザスパクサツ群馬 2‐1 ジュビロ磐田
会場:ヤマハスタジアム
5月24日(日)14時00分キックオフ
前半 0−0
後半 2−1
詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/150524.html
をご覧下さい。
本件に関するお問合せは(株)草津温泉フットボールクラブ 広報部
TEL:027-225-2350 FAX:027-225-2355