2015年10月27日
【試合レポート】2015明治安田生命J2リーグ第38節愛媛FC戦
試合レポート
「とにかく最初の失点の時間が悪かった。それが全て」。MF松下裕樹主将が嘆いた通り、立ち上がりの失点が試合の流れを決定付けた。アウェーでの愛媛戦。3連勝を狙ったザスパは前半開始早々の8分にセットプレーから失点し、リズムを失った。後半には退場者を出すなど焦りからプレーが空回り。点を取りに行った積極策も裏目に出て、終盤に連続失点して0−3で完敗した。服部浩紀監督は「今日はうちの試合ではなかった」と言葉少なに会場を後にした。
前節、ホームでC大阪を破り、今節は3連勝への5度目の挑戦となったザスパ。服部監督はC大阪戦と同じスターティングメンバーを選択し、前節までの勢いを生かしてアウェーでの勝利を狙った。
最近4試合を2勝2分けの負けなしで過ごしているザスパは、その好調の最大の要因は4試合で1失点の安定した守備にあった。シーズン序盤からの課題である、立ち上がりや得失点直後などの勝負どころでの失点が減ったことで、集中した守りからリズムをつかむ戦い方が浸透。負けなしの最近4試合は、チーム全体のハードワークをベースにした粘り強い戦いで勝ち点を積み上げていた。
試合前、服部監督は今節も粘り強い守備から試合の流れをつかもうと考えていたに違いない。だが、その思惑は試合開始早々に崩れ去った。
両チーム1本ずつシュートを放って迎えた前半6分、ザスパは自陣右サイドの裏にロングボールを受けると、対応したDF小柳達司が相手選手との駆け引きからCKを献上。このCKはGK富居大樹がパンチングでクリアし、逆サイドからのCKとなった。そして前半8分、CKから愛媛がショートコーナーを選択。左サイドからアーリークロスを受けると、DF乾大知とMF黄誠秀がPA内右サイドのライン際で競り負け、折り返しを許した。すると中央を固めていたはずのDF川島將がボールウオッチャーとなり、折り返しのボールに反応できず、愛媛FW西田剛にゴールネットを揺らされた。悪癖が重なった末の立ち上がりの失点だった。簡単に与えたCK、集中力を欠いた守備―。連勝中の勢いは消え去り、一気に難しい試合となった。
ただ、まだ試合は始まったばかり。気持ちを切り替え、自分たちの戦いを取り戻すことができれば、十分に逆転する時間は残されていた。だが、一度失った流れを引き寄せるのは簡単ではなかった。
リードしたことで引いて守るようになった愛媛は、前線からDFラインまでがコンパクトな陣形を保ち、強固な守備ブロックを形成。必然的にザスパがボールを持つ時間が長くなったが、堅守速攻を得意とするザスパは思うように相手を崩すことができなかった。目立ったチャンスは34分のMF吉濱遼平の右CKからの直接シュートぐらい。流れの中からのプレーで決定機を作れないまま前半を終えた。
ハーフタイム。前半、失点シーン以外は落ち着いた守備を見せていただけに、服部監督はまず「守備ははまっている」と評価。その上でパス回しのスピードを上げ、テンポよく攻めることを求めた。
両チームともメンバー交代なしで始まった後半。序盤はザスパが積極的に前に出た。
6分、右CKからの流れで黄誠秀が枠内にロングシュート。15分には素早いカウンターから吉濱がバイタルエリアまで侵入し、果敢にシュートを狙った。
ただ、決定機といえる場面は少なく、攻撃の迫力が今一つ。苦しい状況を打開するため、19分に服部監督は2人同時の選手交代を実行した。黄誠秀に代えてMFウーゴ、FW小牟田洋佑に代えてMFユン・ヨンスンを投入。今シーズン途中から補強した2人に期待を懸けた。
けがから復帰したブラジル人助っ人と、2試合前のアウェー徳島戦で決勝ゴールを決めた若手アタッカーで、悪い流れを変えたい。そんな服部監督の狙いは当たらなかった。
1トップに入ったウーゴは、周囲との呼吸が合わず、前線で起点となれず。中盤まで下がってボール回しに加わる以外、相手の脅威となるような位置ではボールに絡むことができなかった。
そしてユン・ヨンスンは、31分に敵陣でボールを奪われた後、相手選手に後ろからスライディングをし、一発レッドカードの判定。泥臭いプレーが持ち味のユン・ヨンスンだが、気持ちの強さがあだとなり、チームを窮地に追い込む結果となってしまった。
数的不利となったことで、逆にやるべきことが明確になったのか、一人一人の運動量が増え、ザスパはややリズムが良くなりつつあるように見えた。さらなる失点は絶対に避けるべく、4−4−1の布陣でしっかり守りつつも、攻守の切り替えを素早くし、得意のカウンターで少ないチャンスを狙っていった。
さらに攻勢を強めようと、服部監督は大胆な交代策を決断。39分、左サイドバックの小柳に代え、MF横山翔平を投入した。
数的不利の中、DFラインを3枚にして攻撃の枚数を増やす積極策は、実らなかった。まさに交代直後の39分、カウンターから小柳のいなくなった左サイドを突かれ、痛恨の2失点目を献上。さらにアディショナルタイムにも追加点を許し、力尽きた。
またしても跳ね返された3連勝の壁。小牟田が「ボールを持ったというより、持たされたという感じだったのかもしれない」と振り返ったように、堅守速攻という得意の形を封じられ、試合を通じて自分たちの得意な形でプレーすることができなかった。そして何より、集中力を欠いたプレーで立ち上がりに失点したことが、敗戦という結果に大きく影響した。シーズン当初からの悪癖が顔を出す限りは、3連勝の壁を越え、今よりもう一段上の景色を見ることは難しいと、改めて思い知らされる試合となった。
今シーズン、J1経験のある強豪チームに気迫の戦いで勝ちながらも、その次の試合では全く別のチームになったかのようにあっさりと負けてしまう光景を何度見たことだろう。残された少ない時間で、継続して力を発揮できないチームとしての未熟さを少しでも解消することが、必ず来季につながるはず。今季の残り4試合で、来季に希望を見いだせるような戦いを期待したい。
【結果】
ザスパクサツ群馬 0‐3 愛媛FC
会場:ニンジニアスタジアム
10月25日(日)19時00分キックオフ
前半 0−1
後半 0−2
詳しくは
http://www.thespa.co.jp/game/2015/game/151025.html
をご覧下さい。
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